海外産業博物館  NO.25


ドイツ博物館 Deutsches Museum

マイスターの遺産を収集

−「技術の国」を伝承−


石田正治  by ISHIDA Shoji


ドイツ博物館の正面入口

 南ドイツ、バイエルン州の州都ミュンヘン、その市内を横切るようにイザール川が流れている。旧市街の近くでは、川中に2つの島ができていて、その島のひとつがムゼーウムインゼル(博物館島の意味)。ここにドイツ最大の、また世界でも指折りの科学と産業技術の博物館、ドイツ博物館がある。
 ドイツ博物館は、電気技術者オスカー・フォン・ミラーの提唱により創設された博物館で、1925年に開館した。博物館の正式名称は、「科学と技術の最高傑作品のドイツ博物館」で、その名の通り、ドイツの各時代のすぐれた科学と技術のマイスター作品を収集し続けて今日に至っている。 博物館の入館者は年間約150万人、その内の生徒数は約60万人である。展示の規模は、歩くと20キロメートルに及ぶと言うから、とても一日や二日ですべてを見ることはできない壮大な博物館である。博物館の収蔵点数は約10万点、その内の約2万点を展示し、領域は、あらゆる産業の科学と技術にわたっている。
 筆者が関心のある機械技術の歴史関係では、フォン・ブラウンのV2号ロケット、潜水艦U1、ゴットリープ・ダイムラーのモートール・ラート(自動二輪車)、カール・ベンツのガソリン自動車、ルドルフ・ディーゼルのデイーゼルエンジン、ヴェルナー・フォン・ジーメンスのダイナモと電気機関車、ニコラス・オットーの4サイクルガスエンジン、リリーエンタールの複葉機などがある。いずれも現代技術のルーツにあたるものばかりで、「世界最初の」と形容される技術史の名品である。 ドイツ博物館の優れた点は、それらのマイスター作品をただ陳列して見せているのではなく、積極的に教育活動に生かしていることだ。実物を動かして見せ、手にに触れさせて、科学と技術の実際に親しむことができるようにしている。
(中部産業遺産研究会事務局長、豊橋工業高校教諭・石田正治)

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